ロートホルン・ヒュッテを訪ねて
「ロートホルン・ヒュッテに行きたい」は何年も前から思っていたが、技術的にも体力的にも
ちょっと不安を感じて、でも「夢の山小屋」として熱い気持ちを持ち続けていた。
Jin様、ロク69様の紀行を何度も読ませていただき、今年がラストチャンスだと思い、ツェル
マット観光案内所にルート状況を聞きに行ったら「大変良い」と言われ、「行こう」と決めた。
山小屋は予約をして行き着けなかった場合を考えて、予約をしないで出掛けた。
今回我が家が歩くコースが黄色い線で示されています。 下の写真はロートホルン・ヒユッテのサイトからお借りした写真です。 この写真にあるチナールロートホルン(4221m)本峰の頂上は、今回歩くコースから 見ることは出来ないと思います 1日目ロートホルン・ヒュッテに泊まれなかったら戻らなければならないので、早い時間に出発した。 トリフトヒュッテまでは今回で5度目になるので、トリフト・ヒュッテまでは略します。 トリフト(2337m)の標識にはロートホルン・ヒュッテまで2時間30分とあります。明るく開けた草原の向こうに 左からヴェレンクッペ(3903m)トリフトホルン(3728mm)ポワントデュ・ムンテ(3877m)チナールロートホルン前衛峰が見えます 清らかな清流に掛かる橋を渡る メッテルホルン(3406m)、プラットホルン(3345m)への分岐を示 す赤い標識がある(ここを登ってヴァイスホルンが見たいな〜) 花々が咲き乱れる明るい草原をモレーンに向かって緩やかに登って行きます。 広い氷河はトリフト氷河です。 振り返ると白銀の山稜は左からリスカム(4527m)、カストール(4228m)、ポリュックス(4092m) ブライトホルンの西峰、中央峰、東峰が鮮明に見えました(ブライトホルンは幅が広いです) 草原状の山道から大きな岩がゴロゴロある本格的な登りコースになりました。 恐竜の背のようなミットラーガーベルホルン(3685m)の山並の先にオーバーガーベルホルン(4063m) の頂上がちょこっと見えます。その右の頭に白い雪を被った山はヴェレンクッペ(3903m)です トリフト川の渡渉があります。と言っても浅く緩やかな流れです。でも私は恐々でぶざまな格好です ここはトリフトゼー(2579m)ですが、湿地のような感じです。 カメラにはモンテローザ山群からクラインマッターホルンまで納めましたが、もっと広く 他の山も眺める事ができるところです いよいよトリフト氷河のモレーンにつけられた山道を登って行きます 手前の山はウンターガーベルホルン(3393m)の力強い山の姿です トリフト氷河が直ぐ前に迫り、右側は切れていますが慎重に歩けば大丈夫の感じ モレーンに刻まれた道はまだまだ続きますが、綺麗な高峰に励まされて登って行きます。 鶏冠の形をしたルムプフィッシュホルン(4199m)シュトラールホルン(4190m)アドラーホルン(3988m) もみえてきました 大分疲れが出てきたところで「あっ、マッターホルン(4478m)の頂上が見えるよ」 嬉しくて疲れがとんでしまいました 目指すロートホルン・ヒュッテ(3198m)が断崖の下に見えてきました もっと手前から見えていたと思うが岩壁の色と一緒なので分かりずらかった 最後の雪渓登りは結構きつい。一歩一歩踏みしめるように登りました。 後ろに見えていた台形の山アルプフーベル(4206m)もアラリンホルン(4027m)も目に 入らなかった ヴァリス州旗がはためくヒュッテまで雪と岩が混じった斜面の急登です 「夢の山小屋」「念願の山小屋」ロートホルン・ヒュッテに着きました。嬉しいの一言です。 早速受付で今日の宿泊をお願いしたら、僅かに空いているらしく泊まることが出来ました (無かったら下ってトリフト・ヒュッテまたは貸し別荘まで戻らないとならなかった) 我が家は4階のNo6、7が割り当てられました ベットの頭上には籠があり、通路側には掛ける 10人泊まれる部屋が4〜5室ありました フックがあるので整然と荷物の整理が出来ます 夕食までの長い時間を小屋の外で、アルプス4000m峰を飽かず眺めていました (もう主人も私も再びここに来れる力はないので、感慨は一入です) アルプスのど真ん中にいる嬉しさをしみじみと味わいながら佇んでいました。 雪の帽子が可愛いヴェレンクッペ(3903m)、写真右の三角の山はトリフトホルン(3728m) 目の前に迫力あるトリフト氷河が白く眩く輝いています 小屋の上まで上がってみました 天を突き刺すマッターホルンはどこから見ても感動します。 登ってきた人、明日登る人が思い思いに過ごしているロートホルン・ヒュッテの前です ここはアルピニストの聖域、「小屋に泊まりに来た」人は、今日は私達だけのようでした このヒュッテは経営者もスタッフも全員女性だけのようです お料理は全部本当に美味しくて(特にお肉)小屋とは思えない夕食でした 一つのテーブルに8人が座って、大きな器に入ったお料理を自分で好きなだけ取り分ける ようになっていました。(無くなればすぐ持ってきてくれます) モンテローザ山群(写真左)とリスカム(右)の夕映え 小屋の外で防寒着をしっかり纏い、山々がばら色に染まる景色をずっと見ていました。 幸せに満ち足りた気持ちで9時ごろ寝袋に入りました。(寝袋と一人一枚の毛布が与えられます) 2日目 山小屋の朝は早く、3時に部屋の電気が一時ついて、クライーマーは朝食を食べて出かけて行きました。 私達も起きて小屋の外で満天の夜空を眺めてもう一度寝ました(部屋は私達二人になりました) 5時半頃に起きて朝焼けを見に外に出ました。 マッターホルンの荘厳な朝焼けです(5時55分)。前の雪稜はミットラー・ガーベルホルン ブライトホルン、クラインマッターホルンも薄く赤く染まってくれました 最後に目の前のヴェレンクッペが赤く輝いて今日の朝焼けショーは終わりました 昨日泊まった人はほとんどが出かけてしまい、一緒に朝食を食べたのは数人でした。 帰る準備をして、ヒュッテの前で名残惜しく景色を眺めて写真などを撮っていたら、精悍なガイド氏が 「チナールロートホルンに登ったのか?オーバーガーベルホルンに登ったのか?」と尋ねてきたので 「Rothornhutte is My Dream」と答えたら「Good Walkig」とにっこり笑ってくれました。 ガイド氏にさようならをして下山開始です 雪道の下りは怖いので慎重に下りました ホッとして振り返るマッターホルンです 暫く下った所から、私が話したガイド氏が率いるパーティが、ロートホルン氷河を歩いている姿が 見えました。遅い出発だからウンター・エッシュホルン(3618m)にでも行くのでしょうか? シュタインボックは王者の風格です。 こんな群れを見れて幸運でした 氷河に沿って登っていました(数えられるだけで7頭もいました) ウンター・ガーベルホルンからミットラー・ガーベルホルンへの稜線は、前穂の北尾根を彷彿させる 立派な尾根で、私の大好きな光景です。(中央に見える荒い氷河はオーバーガーベルホルン氷河) ガーベルホルンの領主オーバーガーベルホルンが頭を見せて素敵な眺めです。 写真右はヴェレンクッペでロートホルン・ヒュッテは前のトリフト氷河の対岸にあったことになります モレーンを過ぎ緊張する山道から開放されてゆっくり休憩しました モンテローザからクラインマッターホルンまで白銀の屏風のようです 小川のせせらぎ、大小の岩が配置された庭園のようなオアシスです トリフト・ヒュッテの裏の礼拝堂とモンテローザ山群、リスカムが絵になります 今日は「スイス建国記念日」風船を付けたり国旗を付けて登ってきます。後姿が楽しいですね 帰り道はエーデルワイスを探しながらのんびりと歩きました 夢の山小屋が現実になり、二日共素晴らしい晴天に恵まれ、幸福感がこみあげた山行でした。 Jin様、ロク69様お陰様で行って来れました。ありがとうございました。 |